大阪市の旅館業の決まりが10月30日に変わりました。持ち主に関係すること
「空いている部屋を宿泊施設にしたらどうか」。浪速区や中央区のあたりで不動産をお持ちの方は、そんな話を聞いたことがあるかもしれません。大阪市では、2026年10月30日に旅館業の条例が改正され、小さな宿泊施設についての決まりが厳しくなりました。
ここまでの流れ
宿泊施設の決まりは、大きく分けて次の3つがあります。今回変わったのは、このうちの旅館業です。
- 旅館業:旅館業法の許可を受けて営むもの
- 特区民泊:国家戦略特区の制度で、市の認定を受けて営むもの
- 住宅宿泊事業:住宅宿泊事業法の届出をして営むもの
大阪市の特区民泊は、2026年5月29日で新しい受付が終わりました。これからは旅館業の許可を取ろうとする人が増えると市はみていて、騒音やごみなどの近隣トラブルを防ぐために、今回の改正が行われました。
10月30日から変わった3つのこと
1. 人が住んでいる建物の一部を使う場合の構造
許可の申請をするときなどに、同じ建物の中に人が住んでいる部分があれば、建物は鉄筋コンクリート造か鉄骨鉄筋コンクリート造であることが条件になりました。入居者がいる木造や鉄骨造のアパート、長屋の一部を宿泊施設にすることは、原則として許可されません。ただし、測定の結果などで同じくらいの防音性能があると証明できる場合や、検査済証などでホテル・旅館の用途に合っていると証明できる場合は例外です。
2. 宿泊客がいる間は、従業員が常駐
宿泊客がいる間は、施設の中か管理事務室に従業員などが常駐することになりました。管理事務室は、宿泊施設の周囲1,000メートル以内に置くものです。この決まりは、すべての旅館・ホテル営業と簡易宿所営業の施設が対象です。
3. 近所への事前の周知が広がる
許可の申請前に近隣の方へ知らせる対象が、客室の合計面積33平方メートル未満の施設から、200平方メートル未満の施設に広がりました。知らせる内容にも、騒音を防ぐ方法と、火災などの緊急時の対応方法が加わっています。
すでに許可のある施設はどうなるか
1と3は、原則として10月30日以後に新しく申請する施設に適用されます。すでに許可のある施設を引き継ぐ場合や、改正前に申請や計画の届出をしていた場合は、対象から外れる経過措置があります。ただし、1は、あとから客室を増やすなど面積が増える改修をするときには適用されます。2の常駐は、すでに営業している施設も対象です。
持ち主にどう関係するか
- アパートの空室を活用したい方:木造や鉄骨造で入居者がいる場合は、宿泊施設にする道はかなり狭くなりました。建物の構造は、登記や図面で確かめられることが多いです。
- 宿泊施設として貸す、売ることを考えている方:常駐の人手は、運営の費用に関わります。利回りの計算が以前のままでよいかどうか、見直しが必要になる場合があります。
- 分譲マンションをお持ちの方:今回の条例とは別に、管理規約の確認も必要です。大阪市も、特区民泊について、規約がある場合はそれに反してはならないことを案内しています。
- 近くに住んでいる方:周知の対象には、同じ建物に住む方や、敷地の隣の建物に住む方などが含まれます。マンションの一部が施設になる場合は、建物全体が対象になると市のガイドラインに書かれています。
特区民泊のほうも、見る目が厳しくなっています
すでに認定を受けた特区民泊は、これまでどおり営業できます。一方で、大阪市は2026年3月にガイドラインを改正し、苦情を受けたら駆けつけるか電話で注意すること、対応の記録を3年間残すことなどを加えました。2026年度の監視指導計画では、重点的に見る2,817施設のほかに、中央区・浪速区・西成区で営業している2,070施設も対象に挙げられています。
今回の決まりが関係するかどうかは、建物の構造、入居者の有無、面積、今の許可や認定の種類、管理規約によって変わります。手続きの判断は、大阪市保健所の窓口や専門家への確認が必要ですが、そもそも宿泊施設にするのがよいのか、賃貸のまま続けるのがよいのかは、建物とご家族の事情によっても答えが変わります。